ヤンヤンデレデレ
おかえりなさい、と小声で言ったあとにキスをしてみせた。
「お疲れさまです」
「すっごい元気出た」
また明日から頑張れると瑞希がジャケットを脱ぐ。
「あれ、瑞希さん」
ネクタイを緩める手が止まる。ジャケットを脱いだ拍子に、ポケットに入れていた紙が一枚落ちた。
自身の手元に来たものだから、何気なくそれを拾った彼女だが。
『連絡待ってます。080―××××―××××』
とハートマークつきの紙を見たものだから、本日二度目の停止に見回れた。
「ああ、忙しくて捨てるの忘れてた」
「瑞希さん……」
「しつこい奴でさ。せめてこれだけでも、とか来たから、しょうがなくね。燃やして来る」
汚いから触らない方がいい、と誉から紙を受け取ろうにも、細い指先に力はこもったままだ。