ヤンヤンデレデレ
「誉、今日も泣きました」
敵との間合いを詰めているような力が入った彼の四肢が緩む。
「今週に入って三回目です。俺……どうしていいか分からなくて」
「それでも、今は泣き声なんか聞こえないけどぅ」
古い建物のため、誰かが泣けばこちらまで響いてくる。
「誉が泣いていると知りながら、ほっときましたね」
「誉ちゃんには、瑞希ちゃんがついているからぁ」
別の子を見ていたのよ、と先生は椅子を指差した。座ったら、と目でだけで言うが、瑞希は天敵前にした動物らしくそこから動かない。
「俺がいても、誉は泣きます」
「それでも今は、泣いていない」
「泣くこと自体が嫌なんです。ありもしない過去(夢)を見て……。誉の脳を取り出せたなら、その部分だけ削いでやりたい」