ヤンヤンデレデレ
「聞くからに痛そうだから、それはやめましょうねぇ。ああ、うん、夢見ちゃうかぁ」
誉ちゃん、と困ったように笑う先生。
「誉も俺みたいだったら、泣かずに済むのに……」
記憶なんか残らない時に捨てられていれば――
「それでも人は泣くわ」
「俺は泣きません」
「今までは、ね」
当人は気づかないだろうが、目尻に水分が溜まっていた。
「それに記憶に残らなくても、悲しいことは覚えているものよ」
「だから、泣きませんって」
「怒りと諦めしかない人にはいい進歩ねぇ」
立ち上がった先生に、いっそ警戒を強めた瑞希。拾ってきた猫を相手するように、先生は膝を曲げて、瑞希と視線を同じくした。