ヤンヤンデレデレ
「分かってて、やってるな……」
「感謝は素直に受け取りなさいなぁ」
「誉以外の『ありがとう』だなんて虫酸が走る」
――誉以外に、優しくなんかしたくないのだから。
舌打ちをし、台所にいる誉に会いに行く。一階立ての小さな建物のため、誉がいる場所にはすぐに辿り着く。
どこの家庭にもあるような狭い台所。
院の食事は、町にある配食センターから届けられるため、この台所を使うのは実質、先生ぐらいなものだろう。
「あ、瑞希さん」
ケーキとにらめっこしていた誉が振り向く。
「指、切ってない?」
「まだ切ってません」
これから指を切るのか発言かと思えば、包丁に手をつけてもいないようだった。