空の果てへ


腕組みをしながら門の傍に立っている、土方さんに走り寄る。


あれから一言も。


俺が手首を切ったことに、土方さんは何も言って来なかった。


あの、俺が手首を切った夜。


土方さんは俺の部屋に来て、こう言った。



『お前は、運が悪かっただけだ』



と。


その一言だけを言い、部屋を出て行った。


なんと言うか・・・あの人らしい。


そう思った。


もう、絢のことは忘れてしまえ。


そう思えるようになってきた。


今、俺がしなくてはいけない事は、償いじゃない。


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