空の果てへ


「一条さん・・・もし、優輝さんが来ても誤魔化して下さいね!!」



そう一方的に叫び、物入れの中に体を押し込む市村。


そんなに、あからさまに嫌がらなくても・・・


心の中でそう呟き、近付いて来る足音に体を身構えた。



「一条さん!!市村さん、見掛けませんでしたか!?」



扉を叩くこともせず、入ってくる優輝さんに、少しばかりの苛立ちを覚える。


船医の補佐、という理由でこの船に乗り込んだ優輝さん。


船医というより、食事係なのだがそれなりに仕事はしてくれている。


しかし、あまりの礼儀の無さ。


正直、もう呆れるしかない。



「一条さん、聞いてます?」


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