空の果てへ


そこまで、傷は深くないようで。


ばっと土方さんが手を掴んだときには、もう血は固まっていた。


うん、失敗したんだな。


呑気にも、そんなことを考えていた。



『パンッ』


ぼぅっとしていた俺の頬に、乾いた音が炸裂する。


土方さんに頬をぶたれたのだと、気が付くのに少し時間がかかった。


だんだんと熱を帯びていく、左頬。


痛いよりも前に、意味が分からない。


自分が何でぶたれているのか。


自分が、どうして土方さんに怒られるのか。

< 91 / 221 >

この作品をシェア

pagetop