夢のまた夢
~数日前~
「申し訳ございませぬ!」
いつもの様に捕盗庁からの帰りで市場をうろついていたら、悲鳴にも似たような声が聞こえてきた。
市場が騒がしいのはいつもの事で、小競り合いもよくある事だから、巻き込まれない程度に通り過ぎるのが一番。
とばっちりだけは御免だし。
だけど、
声をあげている人の姿が、何故だかあの子に似ている様な気がしてほっとけなかった。
「旦那様に何て事をするんだ!」
「私めは何もしてはおりません…」
「この期に及んでしらを切るつもりか!!」
数人の両班(ヤンバン 身分制階級の中で最も上の位)が賤民の親子を取り囲んでいる。