鐘つき聖堂の魔女
「これを見ろ」
そういって目の前に出されたのは少し変わった石ころだった。
ともすればそこら辺に落ちていそうな石だが、土気色の表面の所々からクリスタルのように透き通った石が見え隠れしている。
ロネガンが高々と掲げる石に見覚えがあったリーシャは息を飲んでそれを見つめた。
「それは……まさか…」
リーシャの声が掠れ、その表情に恐れや怯えが見えたことに、ロネガンは歪んだ喜びを覚える。
「皆よーく聞け。石っころに見えるだろうが、これは消魔石という宝石よりも希少な石だ」
「ッ…!」
観衆は消魔石という聞きなれない言葉にピンと来ていない様子だったが、リーシャはすぐに分かった。
(けど、なぜ消魔石が一般人の手に?しかもあんなに…)
一般市場には出回らない代物であり、稀に闇市で売られていてもかなり高価であるため、そうそう手が出せないものであるはずだ。
しかし、ロネガンが持っている消魔石は一つではなかった。
手に一つ、そして取り出したポケットに同じくらいの大きさの膨らみが二つあることから最低三個は所持していることになる。
「これはまだ土がついてるが、磨けばクリスタルのように透き通った綺麗な石になる」
ロネガンは石を掲げたまま自分たちを囲む観衆に沿ってぐるりと歩く。
見たこともない石に興味をそそられた観衆はロネガンの手にある消魔石を食い入るように見つめ、その行方を追う。
「消魔石さえあればお前たちの恐れる魔女だって怖くない。身を焦がす業火も、吹きすさぶ氷雪でさえ、消すことができる。だから消魔石と呼ばれているんだ」
ロネガンの解説に観衆たちから驚きの声が上がる。