鐘つき聖堂の魔女
「それでは"麗しの姫君と呪われた王子”どうぞお楽しみください」
そして、団長の言葉で舞台の幕は開かれた。
まさに姫と王子が主役のその物語はある国の王子が呪いにかかるところから始まる。
大国を統べる国王の一人息子である王子は広大な領土、賢君と呼ばれる国王と賢母と讃えられる王妃、そして美しい婚約者に囲まれ幸せな日々を過ごしていた。
しかし、ある日王子の国を侵略せんとする他国の陰謀により魔女から死の呪いをかけられる。
王子は国民からの信頼もあつく、国の後継者であったため、国中の誰もが王子を助けようと必死になった。
王子の婚約者である隣国の姫も王子の容体を聞きつけ、王子のもとへ駆けつけ看病にあたった。
皆が手のつくせる限りで王子の看病をしたが、努力もむなしく王子は呪いよって身体を蝕まれていった。
呪いを解く方法が見つからないまま時間が過ぎ、皆が諦めかけていた時だった。
落胆に暮れる国王の前に魔女だと名乗る女が現れ、王子の呪いを解いてみせると進言したのだ。
ただし、魔女は王子を救う代償として、王子の妃の座を要求した。
当然国王と国民は反対し、一度は魔女の申し出を退けたが、王子の容態は悪くなるばかり。
そして、魔女の申し出から数日と待たず、王子を救うよう魔女に嘆願したのだった。
すると、あれほど皆が手こずっていた呪いを魔女は魔法を使っていとも簡単に解いてみせた。
その噂は瞬く間に国中に広がり、国民は王子の呪いが解けたことを大いに喜んだ。