あなたのキスで世界は変わる
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「おかえり!可奈ちゃん」
由紀子さんが笑顔で帰宅した私を出迎える。
少しずつ大きくなっていくお腹に毎日胸が痛む。
お腹の子が産まれたら、きっと私の居場所なんてこの家から消え去るんだろうな。
「ただいま…」
「ねぇ、今度可奈子ちゃんの誕生日でしょ?なにが食べたい?」
冷蔵庫から水を取り出す私に由紀子さんがキラキラした瞳で聞いて来る。
誕生日、覚えてんだ…
そういや文化祭の前日だっけ…?
「別に…なんでも…」
「わがまま言っていいのよ。何が食べたい?」
わがまま言っていいの?
そんな言葉、初めて言われた。