ＫＡＴＡＮＡ
『キャー！』

野次馬の１人が叫び、辺りは騒然となった。

気が付くと人混みの輪の半径は長くなり、今度はジン達を取り囲んでいた。

そして三人いた男達もいつの間にか倒れている男だけになっていた…。

『サオリ！』

ジンは我に返り、慌てサオリを再び抱えあげた。

サオリの瞳は閉じていて、息もしていなかった…。

『誰か！救急車を呼んでくれ！』

ジンは周りの人間に助けを求めたが、誰１人として応じてくれている様子はなかった。

『くっそ！！』

ジンはサオリの冷たくなった体を抱き抱え、病院に向かって走った。

『待ってろ、今病院に連れてってやるからな！絶対に死ぬんじゃねぇぞ！』

そうサオリに語りかけながらジンは走った。

それから何分走っただろう…。病院の看板が見え、ジンはラストスパートをかけた。

救急用のゲートを通り、医者にサオリを引き渡した時にジンは心身共に疲労しきっていた…

しかし、無情にもサオリは還らぬ人となった。

ジンの24回目の誕生日の23時59分の出来事だった…。
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表紙・目次

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