上司と上手につきあう方法【完結】

「押さえておいて上げますから、目を閉じてください」

「ん……」



部長はうめいて、掛けていた眼鏡を外すと、そのままずるずると背もたれに背中を押しつけ目を閉じる。



あ、眼鏡外した……。


指の下の部長の手首は、骨がしっかりしてて、男っぽくて、ほんの数秒前までまったく意識してなかったのに、なぜか頬が熱を持ち始める。


いや、これは不可抗力で、っていうか、部長は病人みたいなもんだし!

言い訳をしつつ、ふと、部長の手を膝に乗せたことを誰かに見咎められたらと思うと、少し緊張が走った。


こっそりと周囲を見回すと、私と部長が静かに並んで座っていることなんか誰も気にしていないみたいだ。

元凶の紗江子なんか、塩田部長まで巻き込んで盛り上がってるし……。


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