上司と上手につきあう方法【完結】
時々ごはんも一緒に食べに行ってるから、今日もそれで声をかけられたんだと思った。
「伴ちゃんも一緒に来る――?」
なんて言いながら、振り返ると同時に、ぎょっとその場に凍り付き立ち尽くす私。
一瞬、我が目を疑った。
嘘、でしょ……?
「――どうも」
なんと伴ちゃんの隣に、スーツ姿の……朝陽がいたんだ。
金曜日に会ったラフな私服姿じゃない、紺の無地という、無難に見せかけて着こなしが難しいスーツを着た朝陽は、いつもの、彼らしい一見人畜無害な人懐っこい笑顔を浮かべている。
「あー!」
紗江子が驚いたように朝陽を指差し、並んで立っている二人に駆け寄ったのだけれど、私はその場から動けないままだ。目線だけで朝陽を追いかけている。