上司と上手につきあう方法【完結】
「ひゃっ!?」
よろめく体はそのまま、誰かの腕の中にすっぽりと納まってしまう。
「久しぶり」
耳元でささやかれる懐かしい声。
そして体温。
一瞬誰かに見られたら、と焦ってしまったけれど、彼はスタッフルームへと続くのれんの奥から私を引き寄せたらしく視界は、暗くなった。
「あ……朝陽……」
「なんで俺のこと見ないの?」
いたずらっ子のように尋ねる朝陽は本当にタチが悪いと思う。
「あ、あ、当たり前でしょ! なんでいちいち私が元彼の一挙手一投足を気にしないといけないのよ!」
「ああ……気になってはいたんだ?」
「だから、なってないって!」
「意識してたから、無視してたんだ」