天使みたいな死神に、恋をした
戻れるわけが無い。綠さんがこれからどうなるのか、そしてなんでこんな状況になったのかを聞くまではぜっっっったいに帰れないってもんだ。
「元はと言えば彼女がこうなった原因を作った張本人なんだから、しかるべき場所で裁きを受けることになってもその前にちゃんと彼女の口から聞いておきたい」
「すべてを聞かなくてもいい場合ってありますよね、まさに今がそのタイミングなんですよ翠さん」
渋るアンジュラをなんとか引き留め、10分後までここにいようという押し問答の末、そろそろ10分が経とうとしているが一向に彼女は出てこない。
それから更に時間が過ぎても一向に部屋から出て来ない。
「もう10分経ったんじゃないの? 出てこないの大丈夫? おかしくない?」
「確かに時間は経ちましたねえ。もういいですか?」
「綠さんはどこにいるの? ここから入って行ったんだからここから出てくるよね?」
玄関をびしっと指して、確認した。
「まあそうなんですけど、きっと帰るべききところへ帰ったんじゃないでしょうかねえ」
「どういうこと?」
「ここから先はルーインの管轄ですから私たちの知り得ない状況にもなりえるんですよ」
知り得ない状況? 本当に帰るべき所? 私以外のところで話が歩いてるとしか思えない。
「中に入ろう」
アンジュラの答えなんか聞かずに玄関のドアに手を当てた。さっきルーインが言った『後悔』の波はまだ続いているんだろうか。後悔ってこういうことも含めてるんだろうか。
彼女が信二君と話をした後はすぐに連れて行くことになってたからなの? そんなことなんてぜんっぜん聞いて無い。
「残念ですが翠さん、この中にはもう彼女はいませんよ」
後ろで言ったアンジュラの言葉は無視して私は玄関を勢いよくすり抜けた。