天使みたいな死神に、恋をした
『あのね、私は今の技術では決して治らない病なってしまってね、徐々に体力が無くなり、筋肉も意識も何もかもが無くなって、結局最後は寝たきりになってしまう。そのまま何年か、もしくは何十年も生きるんだって。一生植物人間になるかもしれない。そうなるとね、私に面会に来てくれた人のことを考えるときっと悲しい気持ちになると思うんだ。そもそも面会はできないかもしれないけど。それに医療費だってバカにならない。両親の負担にはなりたくない。そうなった時のことを考えちゃったらさ、いろいろ辛くてどうにもならなかった』
何も言えない信二は、自分の力の無さに苛ついた。緑をどうにかしてやることのできない自分自身の置かれた立場を蔑んだ。
『で、私にもね徐々に徐々に目に見えて体が動かなくなっていくのが分かってね、いてもたってもいられない絶望が頭を支配したの。真っ暗で怖くて一人だった。そこから抜け出したかった。楽になりたかった。信二君に言ったら迷惑かけちゃうって思って言えなかった』
極力明るく言う綠は笑顔を絶やさない。
『でもほら、こっちの世界ってのも案外悪くないかもって思ったんだけど、そんな簡単なもんじゃなくて。
でも、私のせいで死ななくていい人が同じように死んでしまってね、ま、私は自ら逝ったわけだから自分のことプラスそれなりの償いはしなきゃなんないんだけど。
その中にも心優しい人もいてね、こうしてここに連れてきてもらえたってわけなんだ。その人のことも最初は騙したのにね。その人に成りきってここに戻ってこようと思ったりもした。ついさっきもそんなこと思った。
あぁ、何言ってんだろう、言いたいこといっぱいで何をどうしよう。
まぁ、その……ってわけで、信二君に会いたいっていう未練があってね、だからここに来させてもらったの』
『理由は分かった。無理に言わせてたらごめん。それでもわがままを言えば俺は一緒にいたかった。そんなおまえでもずっとそばにいたよ。絶対にずっと離れなかった……これからも俺は悲しいまんまずっと生活するんだよ』
『それは本当にごめんねって思う。本当に心から。でも約束する』
『何を?』
信二の目には涙が溢れ、こぼれ落ちる涙を拭こうともしない。
『信二君が幸せにちゃんと生活して、ここに……って私が今いるところなんだけど、戻って来るときには私が迎えに来る』
『そんなこと……』
『でも一つ条件がある』
『条件?』