天使みたいな死神に、恋をした
『嬉しいよ。でも残念だけどね、ここにこうして「綠」でいられるのは10分しかないの。私は信二君に会いたかったから、最後にどうしても会いたかったから、ここに来させてもらったの。どうして私がここに居られるのかを話すと時間がなくなっちゃうんだけど、でもだからね、こんなことになって本当にごめんねって。ちゃんと言わなくてごめんねって言いたかったの』
『そんなこと言うなよ、謝るな、だってそこに居るじゃん。だったらなんで自分で自分の命を絶ったんだよ。俺になんで相談しなかった? そんな頼りなかった?』
悔しそうに拳をテーブルの上にどんと置く。
その手をしばらく見ていた綠は、躊躇しながらもその力強く握られている拳の上に手を添えた。
ひんやりとした手の冷たさに信二の目は綠の手に釘付けになる。
『違うよ。そんなことない。頼りにならなかったなんて、そんなことないよ。そんなこと思ったこともないよ……ああ、ごめんね。体温までは戻らないみたいなんだ。でも気持ち悪いとか思わないでほしい』
『思うわけないだろうが』
信二は綠の冷たい手を両手で包み込んだ。涙を流さないように気を付けながら。
『なんでこんなことに……おまえに一体何があったんだよ』
『変な言い方なんだけど、それもこれも自分で決めたことだから』
『そんなこと自分で決めるなよ。なんで相談しなかったんだよ。そんなに頼りなかった?』
『だから違うそうじゃない。そんなことないってば。本当に。言えなかったんだよ。ごめん』
『謝るな。何があった。いじめられてたとかか』
『そうじゃないよ……どう頑張っても治らない問題だったから。もうリミットは決められてた』
無言になる信二は綠の言葉を待った。