天使みたいな死神に、恋をした
「私のことを怖がらなかったのはあなたが初めてです」
「そうなの? 前にもこういうことがあったわけ?」
「いや、ないですけど。私が迎えに行く方々は、往々にしてよろしくないことをやってきた方々ですから、そんな方でも私を一目見たら怖がって、だいたい声にならないんですよ」
「それって、私みたいな女子もいたりする?」
「そりゃもちろんいますよ、男女問わず来ますから」
「ふーん、そっか」
こうやって人間を終えてからアンジュラに会っている人がいると思うとなんか変な感じになる。
「たぶんだけど、ルーインの性格でアンジュラの外見だったら本気で怖いかも」
「はぁ、ルーインがいなくて良かったと思ってくださいね、彼はそれを聞いたらきっと頭から湯気上げて怒りますよ」
「あはは、確かにそうかも。でもさ、アンジュラは死神なのにみんなにこういう態度なわけでしょ? 私に接してくれてるような? だったらあんまり怖くないよね」
「あぁ、そうでしたか。なんで翠さんが怖がらないのかが、なるほどね、今やっと分かりました」
一人で納得した死神は、こくこくと頷きながらにたりと口元を緩めて何本目だか分からない缶ビールをその白くて細い指で掴み取った。
骨だ。
言って見りりゃそれは骨にしか見えん。言えないけどそんなことは。しかし人差し指と親指で挟むように持って喉に流し込むその仕草は、ふつうとは言い難い。
そんなことはお構いなしに死神はビールを笑いながら飲んでいく。
こっちも負け時と飲み干して、次のビールに手を伸ばした。