天使みたいな死神に、恋をした
川の中から気泡が上がり始め、それは徐々に大きな波紋となって広がった。
ぼこぼこと大きな泡が音を立てて沸き上がり、辺りには何とも言えない嫌な空気が張りめぐらされた。
息を飲んだ。
中からは以前見たことのある黒いどろどろに包まれた人のようなものが指を不自然に曲げながらゆっくりと浮き上がってきた。
口のところだけ真っ赤に大きく開け、荒く呼吸をしているようにも見える。手を伸ばして何かにすがろうとしていた。
銀色の閃光はアンジュラの鎌が振りおろされた時にできたものだった。
今上がってきたそれをアンジュラは躊躇なく真っ二つに切り裂き、切り裂かれたものは真っ黒い液状のものを川に撒き散らしながら耳障りな悲鳴を上げて沈み込んで行った。
同じようなことを何度も繰り返す。
上がってくるのはみんな違う物だ。
人のようなものもあればそうじゃないものもあった。
アンジュラは順番にそれをかっさばいていく。
顔には笑みすらもこぼしていた。
真っ白い目に時折真っ赤な舌で唇を舐める。
ぞわっと寒気が背中に感じたが、私はそこから動くことが出来ない。