天使みたいな死神に、恋をした

「あ、よかったね君。すぐにどこかに戻れると思うよー。きっとね、じゃ、僕はこれで、あとはアンジュラ君に任せておけば大丈夫だと思う」
 
 きっとじゃ困る!

 ちゃんと戻してよ。

 
 そそくさと引き返すルーインの後を元同級生がそぞろに着いて行く。
 
 でも、やっぱり気になる。
 
 見たことの無いあの人。

 あれはいったい誰なんだろうか。
 
 さっきいいところまで思い出したのに、なんでだろう? もう忘れかけてる。



「ねぇ、アンジュラ。なんかね、どうも記憶が長持ちしてないと思うんだけど」

「そりゃそうですよ。ここでは記憶なんてものは脚色されるのが常ですからね。記憶する必要が無いんですからそうなります」

「そうなの?」

「覚えておくことなんてここでは何一つ無いんですよ。不必要なんです」

「だったら忘れちゃうじゃん」

「ですから、ここでのことは記憶するに値しないってことなんです。忘れるためにここにいるんですから。今まで人間の世界で暮らしていたことをここで同じ時間をかけて忘れていくんですよ」

「それって、たとえば80年生きた人なら、80年かけて全て忘れるってこと?」

 だから山田っちたち、忘れてたの?

「そうです。悲しくそう思うのはまだ生きているからですよ。こっち側に来ていないからそう感じるんです。こちら側に来たら明日のことはわかります。今からそれを忘れるんですから確認の為に分かるようになっているんです。昨日のことは思い出せません。永劫に」
















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