フレンズ
正人が家に帰った後はそんなことばかり
考える。
正人が寝ていたベッドに横たわり、残った温もりを
感じながら。
そして、いつも一人で泣く。
泣いて、泣いて、寂しくて、寂しくて
正人がこれから帰る家に、それを待つ女がいることに
我慢が出来なくなる。
ぷるるるぅ──
正人の家電の音。
プッシュする指はいつも震える。
ぷるるるぅ──
今、私が、かけている電話が
まだ、見たこともない正人の家に
鳴り響いている…
それだけで、心臓がつぶれそうになる。
「─はい、小林でございます」
このきれいな声の主は
きっと…
きっと…