葉桜~late spring days
 「あのさ、奏太。」
 「ん?」

 なんて言えばいいのだろうか。うまく言葉が見つからない。けれども、何か、奏太の心を軽くしてあげられたら、そう思った。なんて言えばいいのか分からない。けれども、いつも思っていたことをぶつけてみた。

 「たまには、逃げたっていいんだよ。なんて言うか、たまには、頼ってよ。頼りないだろうけど。」

 奏太の動きが止まった。

沈黙の間が、何だか怖くて、とりあえず奏太の手を取って、ぶんぶん振り回して、先に行こうと試みてみた。

 「は~らへった~、は~らへった~」

 つないだ手が、心の中を伝えてくれたらと思うけれども、それは無理なので、次の言葉を探した。ずっと思っていたことをぶつけてみた。

 「たまに難しい顔してるとき、声かけていいか分からないんだよ。私、頭悪いし、気が利かないから、どう聞いたらいいか、ずっと分からなかった。」
 「頭悪いってことはないだろうけど。」
 「でも頭悪くてよかった。奏太よりは単純だし。」
 「なんだそれ。」

 もう、どうすれば伝わるか、一体何がしたいのか、訳が分からなくなってきた。ふと今朝の夢を思い出した。とりあえず、奏太のほっぺをつねってみた。
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