葉桜~late spring days
 私は、どうしたいのだろう。私は、奏太のことを、どう思っているのだろう。自分のことなのに、よく分からなくなってきた…。

 夕飯もうまく喉を通らなかった。食べる気がしなかった。昼間のことで頭の中がいっぱいだった。お母さんに謝って、自分の部屋に戻った。

 ベッドにばさっと横になって、枕を抱えて昼間のことを思い出した。

 「好きだ」って言われた。仲間、友だち、それ以上ではないと思っていた奏太から、「仲間じゃ嫌だ」と言われた。

 「一歩進めないか」と言われた。その言葉の意味するところは、どう考えても「彼氏」「彼女」という関係だろう。

 どうして私なんだろう。もっとかわいくて、もっと優しくて、もっと頭良くて、もっと要領よくて、ばたばた慌てたりしない、奏太にふさわしい女の子がいるはずなのになんで私なんだろう。

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