葉桜~late spring days

 葵ちゃんの話を聞きながら、奏太のことをもう一度よく考えてみた。でも、うまく答えが見つからなかった。

 「どうしたらいいか、どう思っているのか、奏太だって急いでないって言ってたんでしょ?また明日とか、普通に話しながら考えてもいいんじゃないの?」

 普通に、普通になんてできるのだろうか。全く自信がない。

 「あとさ、晴香は気づいていないかもしれないけど…晴香の携帯の待ち受け、今なんだっけ?」
 「えっとね、奏太のうちの猫のココアさん。」
 「その前は?」
 「変顔の奏太と泰一郎くん。面白すぎて、落ち込んでいる時に見たら楽しい気持ちになれるから。」
 「その前は?」
 「覚えていないけど、なんだったっけな?」

 はっと気がついた。

 私は知らない間に奏太のかけらを身につけていたのかもしれない。一緒にいてくれることで救われていた、それが携帯の待ち受けに現われていた。
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