葉桜~late spring days
 「じゃあ、まだ返事してないんだ。」

 これまたうなずくしかなかった。

 「それじゃ、ちゃんと返事しなくちゃね。行こう!」

 そう言うと2人が手を引いて、隣の奏太のクラスに連れて行こうとした。

 「ちょ、ちょ、ちょ、ちょっと待って」

 この期に及んで、心の準備がまだできていない。

 「え?なーにー?後でちょっと話がしたいって言いに行くだけじゃん。」

 葵ちゃんがニヤニヤしながらそう言った。確かに、そうなんだけど。その様子を見た理子ちゃんが助け船を出してくれた。

 「まー、部活の時間までに決着つければいいんじゃないの?」

 ありがとう、助かった。そうこうしているうちに、短い休み時間が終わった。

 「じゃ、次の休み時間に行くか!あとでね~!」

 2人がバタバタと去って行った。ホッとした。

 ふと気になって携帯を見たら、メールの着信が入っていた。宛名は奏太からだった。ドキドキしながら開けると、奏太の家の猫のココアさんの写メ付きのメールだった。

  『無理は禁物ってココアさんから伝言。』
 ブサイクな顔をしたココアさんを見て、なんだか一気に気が抜けた。奏太のせいだよと、心の中で毒づく自分がいた。
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