黄昏に香る音色
明日香は、ゆうのそばに駆け寄る。

「やあ」

ゆうのやさしい笑顔。

ほっと、心が癒される。

明日香は、ゆうを見つめ、

少し照れたように、すぐに視線をグランドに向け、

手摺りへと歩いていく。

「昨日、いなかったね…。どうしたの?」

明日香の瞳に映るグランドも、心に入らない。

明日香は、ゆうの答えを待つ。

「ああ…。雨は、苦手なんだ…」

ゆうは、明日香の隣の手摺りに手をかけ、憂いをおびた笑顔を、

明日香に向けた。

「来てくれたんだね…。ごめん…」

明日香は、首を横に降った。

「いいの…理由が、あったんだったら…。それに…今日は、いてくれたし…」

明日香は、手摺りにもたれた。

「ただ…。もう…会えないんじゃないかと…心配しただけ…」

ゆうは、夕陽に照らされた明日香の横顔を、見つめた。

ゆうは、明日香から、ゆっくりと視線を外すと、呟いた。

「まだ…会えるよ…」

それは、とても小さな声で、悲しいトーンをしていた。

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