黄昏に香る音色
明日香は、優一に、ひまわりの花束を渡した。

「あ、ありがとう」

「CDのお礼です。昼休み、抜け出して、買いにいきました」

明日香は、舌をだす。

「CD…そうだ!あげる約束したよね。覚えてないんだけど…」

首を捻る優一に、明日香は苦笑すると、

敬礼した。

「立派な先生に、なってくださいネ」

その言葉に、優一は頭をかく。

そして、手摺りに、もたれかかると、

グラウンドを見た。

「実は…あんまり、先生になる気は、ないんだ…」

懐かしそうに、グラウンドを眺め、

「ただ…もう一度…。この場所に、来たかっただけなんだ」

そう語る、優一の横顔は…似ていた。

明日香は確信し、

「先生って、高校生の時、サッカー部だったんですか?」

優一は、目を丸くした。

「どうして…それを…」


明日香は、言葉を続ける。

「好きな人、いましたか?」

「い、いたよ。上月くんっていって…」

「あたしに、そっくりでした?」

「え!」

真っ赤になる優一。

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