黄昏に香る音色
「和美が…明日香ちゃんの学校の音楽祭にでるって!」
カウンターの向こうから、恵子にそのことをきかされた…啓介は、一度座ったカウンターから、立ち上がった。
それは、今朝の朝方だった。
お客が帰り、片付けを終えて、
店内で、くつろいでいた恵子は、煙草をふかしていた。
突然、店の電話が鳴った。
受話器を取ると、和美だった。
和美は一言…
音楽祭にでることを告げると、電話を切った。
啓介は、頭を抱えた。
「この前は、無理やり連れ出したと思ったら…一体どうして…そんなことばかりするんだ」
舌打ちし、啓介は、和美の携帯に電話したが、出ない。
「ったく!何を考えている。和美は、プロなんだぞ。まだ音楽を始めたばかりの子を、なぜ気にする必要がある!」
「あんたと同じ理由よ。啓介」
恵子は、啓介を見た。
「あんたもなぜ、明日香ちゃんが気になるの?」
「それは…」
言葉に詰まる啓介。
恵子は微笑んだ。
「かずちゃんの好きに、させてあげなさい。あの子は、何でも…自分で確認しないと…気がすまないのよ」
「でも…」
啓介は、カウンターに座りなおした。
「あんたはどうなの?」
恵子は、カウンターから啓介の目を見つめた。
啓介は、それにはこたえない。
カウンターから、立ち上がると…ただステージへと向かった。
そして、明かりの消えたステージの上で、サックスを吹き続けた。
恵子は、そんな息子をただ…
カウンターから見守り続けた。
カウンターの向こうから、恵子にそのことをきかされた…啓介は、一度座ったカウンターから、立ち上がった。
それは、今朝の朝方だった。
お客が帰り、片付けを終えて、
店内で、くつろいでいた恵子は、煙草をふかしていた。
突然、店の電話が鳴った。
受話器を取ると、和美だった。
和美は一言…
音楽祭にでることを告げると、電話を切った。
啓介は、頭を抱えた。
「この前は、無理やり連れ出したと思ったら…一体どうして…そんなことばかりするんだ」
舌打ちし、啓介は、和美の携帯に電話したが、出ない。
「ったく!何を考えている。和美は、プロなんだぞ。まだ音楽を始めたばかりの子を、なぜ気にする必要がある!」
「あんたと同じ理由よ。啓介」
恵子は、啓介を見た。
「あんたもなぜ、明日香ちゃんが気になるの?」
「それは…」
言葉に詰まる啓介。
恵子は微笑んだ。
「かずちゃんの好きに、させてあげなさい。あの子は、何でも…自分で確認しないと…気がすまないのよ」
「でも…」
啓介は、カウンターに座りなおした。
「あんたはどうなの?」
恵子は、カウンターから啓介の目を見つめた。
啓介は、それにはこたえない。
カウンターから、立ち上がると…ただステージへと向かった。
そして、明かりの消えたステージの上で、サックスを吹き続けた。
恵子は、そんな息子をただ…
カウンターから見守り続けた。