黄昏に香る音色
ドラムの上原が、いきなりやめたいと言ってきた。

明日香のいう…軽やかな演奏ができないから、ユニットに参加したくないと。

彼女は、退部届けを出してきた。


とめたが、無理だった。

意志はカタかった。

唯一のドラマーを、軽音部は失った。

後でわかったことだが、

上原は、結城に引き抜かれたのだ。

ブラスバンド部に。


仕方がなく、

里美が、ドラムの座につくことになった。

負けを覚悟した滝川部長。

歓喜する里美。

落ち込む滝川に、

明日香は、演奏する曲の変更を申し出た。

もう音楽祭まで、数日しかない。

戸惑う滝川に、明日香は言った。

「この曲でなければ、だめなんです」

ドラマーが変わったことも、ちょうどよかった。

「シンプルな曲なので、大丈夫です」

明日香は、他のメンバーに、曲を聴かせた。

浅倉が頷けば、滝川は文句がいえなくなった。

そして、里美を加えた練習が、始まった。

< 287 / 456 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop