黄昏に香る音色
「だから…」

啓介は、明日香をみつめる。

「しばらくしたら、お前も、アメリカに来てほしい。LikeLoveYouは、向こうで、新しいメンバーで組み直す」

啓介は明日香から、少し視線を外した。

明日香は驚き、

「アメリカ…新しいメンバーて…」

啓介は、明日香の言葉を遮った。

「いきなり、日本人が向こうに行ったって…環境に、すぐに順応できない。向こうには、日系の知り合いや、付き合いの長いやつもいる。とにかく!時間がないんだ!」


「今の仲間は、いらないということ!みんな…いっしょにやってきたのに!」

明日香は、啓介に詰め寄った。

「時間がないんだ!」

啓介の叫びに、明日香は、首を横に振った。

「無理よ」

「明日香!」

啓介は、明日香の両肩をつかむ。

明日香は、顔をそらした。

二人は、黙り込む。

しばらくして、

明日香は、啓介を見た。

少し涙ぐんでいる。

「明日香…」

「どうしたの?啓介…。ママが、退院したばかりだよ。いきなり、アメリカなんて…。それに、あたし…まったく知らない人と、すぐにできないよ…」

啓介は手を離すと、明日香から離れた。

どうしたらいいのか分からない…。

二人とも…。

いつのまにか、

夕陽が、山を染め始めていた。


「やれやれ…」

会話が止まっている二人に、

近づく者達がいた。

「明日香ちゃんを、連れ出して…何を話してるのかと思ったら…」

近づいてくるのは、阿部、武田、原田。

ダブルケイのレギュラー。

「啓介。すまんが、話はきいたぜ」

阿部が、啓介の前に立つ。

「俺達じゃ、不満か?」

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