黄昏に香る音色
明日香の案で、サンプラーが、ライブで導入され、

啓介の学生時代の知り合いのDJが、参加する。

ラッパーはいれなかったが、DJがMCを担当した。

武田は、順応力が高く、

ヒップホップのリズムも、叩き出すことができた。

本日の一曲目は、ア・トライブ・コールド・クエストのFind A Wayだ。

印象的なサンプリングループから、

明日香のトランペットと啓介のサックスが、韻をふむように、ラップする。

印象的なコーラス部分は、DJが歌い、

2コーラス目からは、明日香が歌う。

武田のリズムが鋭い。

曲が終わっても、

武田のドラムだけは、終わらない。

まるで、ミックステープのように。

シンプルに単純な音。

堅いスネアの音が、観客の心を激しくノックする。

啓介のサックスが、宙を舞うように漂う。

デイアンジェロのBrown Sugarだ。

明日香のクールな声が、会場に響く。

LikeLoveYouは、来ている観客に合わせて、曲調を変えた。

決して、媚びてるわけではなく、

あくまで、明日香と啓介をメインにしていた。

ただ…観客を楽しませたい。

明日香が、トランペットを吹けることもよかった。

明日香の歌声は、ダンスナンバーには向いてなかったけど、

トランペットは別だった。

オープンからミュート…

使い分けも鋭く、

得意のワッツゴーイングオンでは、

トランペットで、観客を煽りまくった。

そして、

Yasashisa…。


LikeLoveYouは、

ライブバンドとしての実力を、発揮し始めた。

そして、そのライブの雰囲気は、オープンであり、

誰でもが、参加できる隙間を開けていた。

時に、ラッパーが上がり、自由にライムを奏で、

楽器を持った者が、音に交ざることもあった。

自由と楽しさ……そして、切なさ。

人種が入り交じり、ステージは、音という交流の場となっていた。

言葉が、通じなくても、人はコミュニケーションがとれる。

人の心は、言葉をこえるのだから。




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