ヒミツの恋【短編集】
「…渉は…どうして私と付き合おうって思ってくれたの?」





渉なら、黙っていても沢山女の子が寄ってくるのに。




その中からいくらでも、私よりずっとずっと可愛い子だって選び放題なのに…






『…居心地が良かったから…。真由美と過ごす放課後の図書室がすごく安らげる空間だなって…。
無言でいても気まずくなくて、心地よかったから。真由美の出す癒しオーラにやられちゃったんだ、きっと…』





照れる事なく気持ちを話してくれる渉に、嬉しくて…自然と涙が滲んでくる。





私は悟られないようにカウンターにある残りの返却本を取りに向かおうとした。





『真由美が昔を思い出してる最中に全部片付けちゃったよ。』






そうして、私の腰に、頬に手を添える渉。






『…ご褒美貰うよ?』






いつもより深いキス…





ご褒美…貰ってるのは、きっと私の方ね…






深いキスで朦朧とする意識の中、ぼんやりとそんな事を考えていた…
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