あの加藤とあの課長
月曜日、会社に行くと、驚きのニュースが飛び込んできた。



「常務と専務が…、降格?」



昼休みに敏ちゃんに呼び出されて、生渕さんと2人救護室を訪れていた。



「まだ正式発表じゃないんだけどねー。あ、陽萌、これありがと。」



敏ちゃんに渡された音楽プレイヤーを両手で握りしめながら、私は未だ呆然としていた。

目の前にいる敏ちゃんは、一昨日とは打って変わっていつも通りだ。



「音楽プレイヤー?」

「陽萌が録画しててくれたのよー! おかげで助かったわー♪」



いつも通りだ…。
怖いくらいにいつも通りだ…。

それにしても…なんで…?


そんな気持ちが顔に出ていたんだろう、敏ちゃんはニヤリと笑って言った。



「アタシ、社長とちょっとあってねー。話したらちょちょいのちょいよ。」

「へ、へぇ…。」



まさか、敏ちゃんにそんな伝があっただなんて。



「まあ、これにて一件落着ーう!」



ふふんと笑う敏ちゃんにポカンとした後、敏ちゃんと別れた私たちは社食に向かった。
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