あの加藤とあの課長
「お、おい?」



戸惑う課長が可笑しくて。



「す、すいません~。」



久しぶりにちゃんと目を見て、こうして話しているのがなぜだか嬉しくて。

寂しかったんだ、なんて今さら気付く。


課長、課長。

この気持ちは、なんですか。



「うぅ~。」



酔ってもいないのに涙が止まらない。

困り果てたらしい課長は少しオロオロしてて。


戻ってきたオカマに大笑いされてた。




「同期なのよ、同期♪ アタシの方が2つ上なんだけどねー。」



泣き止んだ頃、オカマが教えてくれた。



「あ、ちなみに私は敏子(としこ)。敏ちゃんって呼んでね♪」



なんだか渋い…。自分でつけた名前ならもう少しいい感じにすればよかったのに…。



「何言ってんだ、敏雄(としお)だろ、敏雄。」

「その名前で呼ぶんじゃないわよ!」



…仲、良いんだ。



「源のことならなんでも聞いてね、陽萌♪」

「どうして私の名前…。」



自己紹介してないのに…。



「あら、社内では有名人よ? 陽萌と源は。」

「そ、そうですか…。」



なんだか、理由が分かるような気がする。



「まっ、明日からは違う意味で有名人だろうけどねん♪」



ニヤニヤと笑う敏ちゃんに首を傾げた。課長はただ顔をしかめていた。
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