素敵彼氏の裏の顔
本当に淳ちゃんは失礼だ。
全てを自分の基準で見ているのか、とでもいうほどに。
だけど、それには深い理由があったのだ。
「橘が高校の頃から、あいつには決まった女なんていなかった」
そんな話は聞きたくない。
どうせ、淳ちゃんは自分と同じだとでも言いたいのだろう。
「あいつがまだ、神木の頃。
……神木隼斗と言われていた頃。
あいつの周りには西高の女が群がっていた。
あいつはそれを片っ端からヤり捨てたっつう話だ」
「何それ」
そんな話、聞きたくない。
知りたくない。
胸がずきずきと痛む。
淳ちゃんは、時々デリカシーがないのが玉にきず。
こうやってあたしの心に土足で踏み込む。
今の隼斗はそんな人ではないことくらい、よく分かる。
だけど、淳ちゃんはそんな噂のある隼斗だからこそ、あたしを近付けたくなかったのかもしれない。
そんな淳ちゃんの気持ちは分かるような気もした。
だけど……
だけど、真実を知れば知るほど辛くなる。
それなのに、隼斗から離れたいなんて気持ちはない。
ただ、隼斗の口から真実を聞きたいのだ。
あたしは、隼斗を信じている。