素敵彼氏の裏の顔
「ま、いずれにせよ「ギャーッ!!!」
淳ちゃんの言葉は、いきなり響き渡った凄まじい悲鳴に掻き消された。
驚いて淳ちゃんを見ると、淳ちゃんも驚いたように目を丸くしていて。
あたしを見て頷いた。
すぐ近くで、明らかに良くないことが起こっているらしい。
昔から、こうやって悲鳴のする所に淳ちゃんは現れた。
喧嘩無敵の淳ちゃんは、危険なところに自ら現れる。
そして、独自の考えに基づいて正義を貫いたのだ。
淳ちゃんはあたしの手を引いたまま駆け出した。
家の角を曲がり、暗い路地裏へと抜ける。
路地裏はそこだけじめじめしていて陰気くさくて。
まるで、西高の奴らが幅をきかせていたあの街みたいだった。
そんな中、ドスッ…鈍い音が聞こえる。
幾度と耳にしたことのある音だ。
人の肉体と肉体がぶつかり合う音。
嫌な予感がしてならない。