素敵彼氏の裏の顔
「何だかサークルに戻る気なくなっちゃった」
隼人はぽつりと呟く。
そして、あたしの手を握りしめる手に力を入れる。
「美優に盗み聞きのお仕置きをしなきゃ」
そう言って、あたしを見て爽やかに笑う。
その笑顔はもう好青年すぎるのだが……
「お仕置き!?」
隼人は何をするのだろう。
あんな場面を目の前で見てしまったからには、不吉なことを想像してしまう。
とうとう隼人の化けの皮が剥がれる瞬間か。
……いや、もう剥がれているのか。
いずれにせよ、嫌な胸騒ぎがしてならないあたし。
気付いたら、身体が少し震えていた。
そんなあたしの感情を、隼人は敏感に感じ取ってしまう。
「心配しなくてもいいよ。
俺が美優に酷いことするわけないじゃん」
そう言って、冗談とでも言うように、隼人は楽しそうに笑った。
あたしはそんな隼人の横顔を眺めていた。
すっと整った高い鼻。
口角の上がった唇。
瞳は優しげに前方を見ている。
どこからどう見ても、隼人は普通の優しい人。
不思議だな、人ってこうも変わるのだろうか。