素敵彼氏の裏の顔
淳ちゃんがICUに入った時、淳ちゃんが二度と戻ってこなかったらどうしようと思った。
あの太陽みたいな笑顔も、乱暴な話し声も、二度と聞けないかと思った。
淳ちゃんのいた世界は、そこまで真剣で恐ろしい世界で。
そんな世界を知っているからこそ、隼人にはあの世界に戻ってほしくないと思ったりもした。
「大丈夫だよ」
隼人は余裕そうに笑っている。
その間にも血は赤々と流れていて。
あたしは、恐怖に眉を寄せていた。
「俺の不注意でやられちゃったけど、大したことはない。
それにね……」
隼人はあたしの耳元で囁いた。
「腐っても俺は神木。
本気でやろうと思ったら、負けない自信はあるよ」
皮肉っぽくそう言って、ははっと笑う。