素敵彼氏の裏の顔



気付いたらあたしはすでに浴衣に包まれていて、あやちゃんは既に帯の支度に入っていて。

その手際の良さに驚く。





「だからね、美優ちゃんにお願いがあるの。

何を言われても……

お兄ちゃんがどんな言われ方をしても、

美優ちゃんの気持ちに正直になってほしい」





胸が痛い。

自分の愚かさに泣きそうになる。




今まで、隼人があたしを裏切ったことなんてなかった。

ただ、あたしが一人で慌てていただけだ。

利枝のことだって、冷静に考えれば……






「お兄ちゃんを……見捨てないで」





あやちゃんの元気な声は、いつの間にか震えていた。

震えながら、あやちゃんは大粒の涙をこぼしていた。



< 258 / 401 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop