素敵彼氏の裏の顔
気付いたらあたしはすでに浴衣に包まれていて、あやちゃんは既に帯の支度に入っていて。
その手際の良さに驚く。
「だからね、美優ちゃんにお願いがあるの。
何を言われても……
お兄ちゃんがどんな言われ方をしても、
美優ちゃんの気持ちに正直になってほしい」
胸が痛い。
自分の愚かさに泣きそうになる。
今まで、隼人があたしを裏切ったことなんてなかった。
ただ、あたしが一人で慌てていただけだ。
利枝のことだって、冷静に考えれば……
「お兄ちゃんを……見捨てないで」
あやちゃんの元気な声は、いつの間にか震えていた。
震えながら、あやちゃんは大粒の涙をこぼしていた。