僕と彼女の秘密の物語。



その寝顔を、私はそっと盗み見た。


(ほんと気持ち良さそう…子どもみたい)



無防備な寝顔。

確かにこんな陽だまりにいたら、寝なきゃもったいないわよね。



それからよく、食堂で彼の姿を見かけるようになった。


最初は真剣な顔でレポートに取り組んでいても、気付いたら突っ伏して居眠りしている。



「なぁ祥太、お前サークル決めた?」


「ううん、僕はまだ」




彼が“ショウタ”という名前であること、

新入生であることを知った。



居眠りばかりする新入生の男の子。



その頃はまだ、そんな印象しかなかったのに、


話したこともない彼の存在は、私の中でどんどん大きくなっていった。




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