僕と彼女の秘密の物語。
僕と彼女との出会いは、今から2ヶ月前に遡る。
この大学の二回生に上がったばかりの僕は、ある春の昼下がりにこの資料室で彼女に出会った。
いや、“出会った"というよりも、
“たまたま鉢合わせた”と言った方が正しいかもしれない。
連日の深夜までのバイトが響いて、次の授業までの空き時間、僕は寝れる場所を探していた。
今までは食堂で寝ていたのだが、新入生で賑わって落ち着いて眠れやしない。
そう思うと、ここは穴場だ。
経済学部の僕とは無縁の理工学部の実験棟は、普段からほとんど人の出入りが少ない。
主に使用しているのは1階の実験室と教授の部屋で、2階の資料室はほとんど物置と化していた。
不用心だがありがたいことに資料室の鍵は壊れていて、誰でも中に入ることが出来る。
少し埃っぽいが、意外と片付いていて思っていたほど悪くない。
自分の部屋も似たようなものだ。
資料室に入り、薄暗い奥へと進む。