僕と彼女の秘密の物語。

「……んっ…」



奥から人の声が聞こえた気がして、一瞬身体が固まった。

耳を澄ませると、奥の方から微かに気配がする。


(僕と同じようなこと考えてる奴が、他にもいたのか…)



資料室の奥に、更に扉がある。

その扉が微かにあいていて、声の主はその奥に居るようだった。

隣の部屋と繋がっているのか、はたまた本当の物置かは、入ったことがないから分からない。




「んぁっ……」



次の瞬間、思わず心臓が飛びはねた。


「んっ、んん…」




…甘い声。


これは間違いなく、

女が“感じている”時のものだ。





(…まさか、こんなとこで?

うそだろ…)


ダメだとわかっていたけれど、好奇心の方が勝って扉の隙間を覗き込んだ。


自分の心臓の音が今にも聞こえてきそうだ。





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