十二の暦の物語【短編集】

「あ!俺観たいのあんだからー!!!」
「あたしだって観たいのー!!!!」
「いーじゃん姉ぇちゃんずーっと観てたろー!!!!」
「途中でチャンネル変えたら続き気になるじゃん!!」
「何だよー!姉ぇちゃん4時間もテレビ観過ぎなんだよー!!!!」

私の右と左に座る弟と妹が、テレビのチャンネル争いをしている
年末年始はスペシャル番組ばっかりで子供はテレビから目を離せないよね

歌番組を観続けている妹。綾香（ｱﾔｶ）
綾香からリモコンを奪い取って大好きな格闘技を観ようとする弟。裕太（ﾕｳﾀ）

中1の妹と小5の弟
そんな小さな2人のチャンネル争いは壮絶なのです

お茶を啜りながら筋を丁寧に剥いた綺麗な蜜柑を食べながら、ぼんやりと反対側に置かれたテレビを見つめる
遂にはティッシュや蜜柑の皮なんかが私の視界を度々横切って、画面があんまり見えない

ちらりと左上の壁に掲げられた時計を見る
11時23分
何時もなら綾香と裕太はとっくに寝てる
大晦日だけ特別に起きていられるんだけど、こんなに騒がれると大晦日で起きている人は多いけど近所迷惑