何度でもまたあなたに恋をする
コツンと頭を小突かれてハッとした。これ以上、わけのわからないペナルティを追加されたら困る。ただでさえ、恋愛経験に乏しいのにとんでもない。ブルブルとそんな怯えるあたしの隣で清水さんは次は何にしようかなと意地悪そうな笑みを浮かべていた。

「あの、私たちもしかして知り合いだったりしませんか?」

無意識のうちに立ち止まり、「どうした?」と声を掛けてくる清水さんに咄嗟に尋ねた。自分でも分からないけれどどうしても聞きたくなって。当然、目を丸くして驚いて「お前、何言ってるんだ?」って言われると思ったのにスタスタと無言で立ち止まるあたしに近づいて、彼はこう言った。

「やっと思い出したか。このバカ」

目を丸くして驚いたのはあたしのほうだった。なんとなくで言ったことだったのにまさかこんな予想外の返答が返って来るなんて。

「あの・・・」

「俺とお前の姉は友達でよく遊びにも行ってただろうが。忘れたのか?」

今度はくしゃくしゃと頭を撫でられた。そうだったっけ?清水さんとお姉ちゃんは友達?何度も会ったことがある?記憶を辿り寄せるけれどその記憶が蘇らない。そういえばそれ以外にもなんとなく忘れているような記憶があるような。

「なんだよ?腑に落ちねえ顔しやがって。全く、そんなに俺がかっこよくなりすぎてすっかり忘れたのか?しゃーねーな。でも、お前に好かれるのはすげー嬉しいよ」
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