何度でもまたあなたに恋をする
やっぱり、やっぱりどれだけ記憶を手繰っていっても清水さんの顔が思い浮かばない。お姉ちゃんから紹介された人はお義兄さんだけだったし。そっか。こんな風に一人でモヤモヤしないで直接、お姉ちゃんに聞けばいいんだ。そうと決まれば善は急げ。帰ってすぐに電話でお姉ちゃんに聞いてみよう。

「おい、人が小っ恥ずかしいこと道端で言ってるんだから聞けよ」

「えっ?ごめんなさい。全く聞いてませんでした」

「おい、お前。マジでペナルティ追加すんぞ」

結局、その日は清水さんの話したいことよりもお姉ちゃんに確認したかった気持ちの方が上をいったので用事を思い出したふりで帰ろうとしたのに飯くらい付き合えという清水さんに付き合うことになってしまった。

だけどどれだけ清水さんに話を聞いても全部が作り話にしか聞こえなくてなんとなく頷いたり、相槌を打ったりもしたけれど違和感しか感じられなかった。ただ、この言葉だけは妙に頭に残ったのはなぜだろう。

「無理して思い出さなくていい。お前にとって俺はいい記憶じゃないからな」



「送っていただいてありがとうございました」

リリアンの近くの清水さんの行きつけのお店でクリームワッフルを食べたというのに運ばれてくる料理に目を奪われ、結局ガッツリと晩ご飯をご馳走になってしまった。そして更に事務所まで戻って車を取りに行った後、家まで送ってもらってしまった。
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