不良系幼なじみとの甘い恋愛事情
仕方ない、先生に言おう。
この雨だもん、傘くらい借してくれるよね。
「わっ」
職員室へ行こうと後ろを振り向いた瞬間、ダルそうに靴箱の前に立つ愛翔の姿が目に入った。
び、びっくりしたー‼
思わず変な声出しちゃった。
「なにやってんだよ?」
そんなあたしを気にすることなく愛翔は自分の靴箱の前まで来た。
靴箱から靴を取り出して床に置くと、上履きをダルそうに持ち上げてあたしを見上げる。
「委員会で残ってて。帰ろうとしたら傘がなくて先生に借りに行こうとしてたとこ。愛翔は?」
こんな時間まで学校にいるなんて珍しい。
「気付いたら教室で寝てた。で、起きたらんな時間だった」
「バカじゃん」
「お前にだけは言われたくねぇよ」
傘立てからひょいと自分の黒い傘を取り出して、横を通り過ぎてダルそうに歩いて行く。