不良系幼なじみとの甘い恋愛事情
もう帰っちゃうんだよね。
当たり前、か。
別に一緒に帰る約束をしてるわけじゃないし。
「……じゃあね」
小さくそう呟くと、愛翔は足を止めて振り返った。
なぜか、怪訝そうに眉をひそめてる。
「なに言ってんだよ、早く来いって」
「えっ⁉」
「来ねえんなら置いてくぞ?」
バッと傘を広げて呆れたように笑う愛翔。
「ま、待って」
いいの、かな?
だって、これって
いわゆる相合傘ってヤツですよね⁉
右隣に意識が集中する。
くすぐったくて変な感じ。
降りしきる雨の音なんて全く耳に入って来なくて。
触れそうで触れない肩に、全意識が集中していた。