近い君、遠い君。



手招きする隼也。


後ろを振り返ると真美は「い、け!」
と押してくる。


なんだかやたらとクラスの女子の視線を感じるけど……。





「……ど、どうしたのっ?!」

「社会の教科書、時間割間違ってて無くってさー……


持ってたら貸してくれないかな?」



隼也の困り顔。

昔とやっぱり変わんない。



「も、持ってるよ、待ってて!!」

隼也は満面の笑みで喜んでくれた。





……




「はい、これ」

教科書を差し出すと隼也は
「ゴメン、ありがと」と言って自分の教室へ戻って行った。



……隼也。隼也隼也隼也隼也隼也隼也。



頭の中は、隼也でいっぱいになっちゃった。




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