政略結婚~天使に導かれて~
「それなら、今度、愛さんや光太君も一緒に、皆でバーベキューでも
 しないか?」

沈黙を破るように、隆二が提案した。

「そうよね!やりましょうよ。ねぇー、悠太。やりましょう!?」

「そうだな・・・・。でも、暫くは、そっとしておいてほしいんだ。
 光太も小さいし、まだ気持ち的に、落ち着いてないし・・・・
 光太が、もう少し大きくなれば、また参加できると思うから・・・・」

悠太がそう話すと、椿が苛々したように

「悠太、あなたが何でそこまで、愛さん達の事を気にするの?
 愛さんの事、好きなの?」

「おい、椿、止めろ!! そういう言い方は、悠太に失礼だぞ!
 それに、もう少し、島津の家の事や悠太の事も考えてやれよ!」

勇気に反論され、椿は

「だって・・・悠太ったら、せっかく帰国したのに・・・・
 全然会えなくなってしまったじゃない・・・・・・」

「皆、ごめん。でも、今はまだ自分でも、会社の事や、愛ちゃん達の事
 を一番に考えたいんだ・・・・。時間が取れて、会えるときは、
 飲み会なり、遊びなり、参加するから・・・・ゴメンな、椿」

悠太は、気まずい雰囲気の中、グラスに残っていたビールを飲み干した。

そして、悠太は、

「悪いが、明日も仕事なんだ。俺は、一足先に帰るよ・・・」

と、隆二にお金を置いて、居酒屋を後にした。

残された三人は

「椿、言って良いことと、そうでないことがあるんだぞ!」

隆二は、椿に怒りをあらわにした。

「だって・・・・・」

「まぁーまぁー、隆二も椿も。悠太は、今は本当に大変だと思うよ。
 特に仕事は、本当ならもう少し、平社員をしているはずだったのが
 颯太さんの事で、全部予定が狂ったんだから・・・・。
 暫くは、見守ってやろうぜ! それに椿、お前は悠太の事になると
 つい言いすぎるから、気をつけなよ。お前がずっと悠太を好きなのは
 知っているが、悠太に呆れかえられると、友達でもいられなくなるんだぞ」

椿は、勇樹の言葉に、何も言えなかった。
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